敬愛さるる者の第一の呼びかけはこれである。おお神秘なる鶯(うぐいす)よ!心霊のバラ園以外に住まうな。おお愛のソロモンの使者よ!大いに愛さるるもののシバ以外に隠れ場を求むるな。おお不滅の不死鳥よ!誠実の山以外に住まうな。汝もし汝の魂の翼に乗り無限の領土に舞い上り、汝の目的を達せんことを求むるなら、かしここそ汝の住家(すみか)である。
二 おお心霊の子よ!鳥は巣を求め、鴬はバラの魅力を求む。しかるに人々の心の鳥は、儚い(はかな)塵に満足して、その永遠の巣より遠くさまよい出で、無思慮の泥沼の方へ視線を転じ、聖なる神の御前の栄光を失っている。ああ!何と奇妙なことであり、哀れむべきことである。ただ一杯を口にせんがために彼等は天上のさかまく海より眼(まなこ)を転じ、最も光り輝く地平線
より遠い所に居残っている。汝の心の花園に愛のバラしか植えるな。愛情と願望の鶯(うぐいす)から汝の手を放すな。正しき者との交わりを大切にせよ。されど邪(よこし)まなる者との総ての親交を避けよ。
四 おお正義の子よ!愛する者が愛さるる者の国以外のどこへ行き得ようか。どの探求者が自分の心に欲するものから遠ざかって安息を見出すや、まことの愛人には融和こそ生命であり、別離は死である。彼の胸には忍耐が欠けている。また心には平安がない。彼の愛する者の住家(すみか)に急ぐためには幾百千の生命も捨てるであろう。
五 おお塵挨(じんあい)の子よ!われまことに汝に告ぐ。あらゆる人間のうち最も怠慢なるものは、愚かなる争いを行い兄弟より自ら優らんことを望む者である。言あげよ、おお兄弟達よ!言葉にあらずして、行いをもちて汝の飾りとせよ。
六 おお地の子よ!まことにこれ知れ。少しでも妬みが残っている心は決してわが永遠の領土に達することを得ず。またわが聖なる王国から香り出づる神聖の甘き香りを吸うことは出来ないであろう。
七 おお愛の子よ!汝は天上の輝かしき丘より、また天上の愛の木よりただ一歩だけ遠のいている。一歩踏み出せ。そして第二歩で不滅の領土に進み、永遠の館に入れ。かくて栄光のペンによりて啓示されたるものに
耳傾けよ。疑いの低き段階を過ぎて、確信の崇高なる丘に登れ。真理の眼(まなこ)を開け。さらば汝明らけき美を見、かく叫ばん「総ての造物者中最も卓越せる主のあがめられんことを!」
十 おお欲望の子よ!これに耳を傾けよ。朽つべき眼(まなこ)は決して永遠の美を認めないであろう。また生なき心は萎(しぼ)んだ花しか楽しまないであろう。何故(なにゆえ)なら似たるものは似たるものを求め、同類との交りを好むから。
十一 おお塵埃(じんあい)の子よ!汝の眼(まなこ)を盲(めくら)に せよ。さらば汝わが美を見ん。汝の耳ふさげよ。さらば汝わが声の快よき音調を聞かん。汝自身から総ての知識をなくせ。さらば汝わが叡知の分け前を受けん。 富より汝自身を浄めよ。さらば汝わが永遠の財宝の海より永久の分け前を得ん。汝の耳をふさげとは、わが言葉の総てに対してである。汝自身から総ての知識を なくせとは、轡夢ふさげとは、わが叡知以外の総てに対してである。かくて汝清き眼(まなこ)と、純潔なる心と、注意深き耳とをもちて、わが神聖なる宮廷に入ることを得ん。
十二 おお二つの視覚を持つ者よ!一方の眼(まなこ)を閉じ他方の眼(まなこ)を開らけ。一つはこの世界とその中にある総てに対して閉じ、他は敬愛さるる者の聖き美に対して開け。
十三 おおわが子等よ!わが恐るるは汝等天上の鳩のメロディを聞かず全くの損失の陰に再び落ち込み、バラの美を見ることなく水と土に帰(き)することである。
十四 おお友等よ!聖なる鶯(うぐいす)が、もはや心奥の神秘を開くことが出来ず、汝ら総てが天上のメロディと天上よりの声を奪われるときが来ている。
十六 おお怠慢の真髄よ!幾百千の不思議なる言葉は一つの発言で語られ、また幾百千の隠されたる神秘は一つのメロディーのうちに現わされている。ああ、しかし、それを聞く耳はない。それを知る心もない。
十七 おお仲間よ!超空間に通じる門は広く開いている。愛さるる者の住家(すみか)は、愛するものの血で飾られている。しかも少数を除く総てのものは、この天上の町のから、とり残されたままでいる。これら少数者の中にさえ純潔なる心と聖き霊を持つものは極めて僅(わず)かである。
十八 おお汝等最も高き楽園の住人達よ!神聖なる領土内の天上の楽園に近く、一つの新しき花園出現し、その周囲を高きにある領土の人々と崇高なる楽園の不滅の住民達が、とり捲(ま)いていることを、確信の子等に宣布せよ。されば汝等その地位に到達し、アネモネの花より愛の神秘を解きあかし、神聖にして無上なる秘密をその永遠の木の実より学ぶよう努力せよ。そのうちに入りて住まう人々の眼(まなこ)こそ慰められん。
十九 おおわが友等よ!神聖にして祝福されたる環境のもと、あの栄光に輝く楽園に植えられし生命の木の陰で、わが面前に汝ら総てが集まりしあのまことの輝かしき朝を忘れしや。われこれら三つの最も神聖なる言葉を述べしとき、汝らは畏れかしこまって聞いた。即ち「おお友等よ!わが意志を措(お)いて汝の意志を選ぶな。汝のためわが欲せざりしものを決して欲するな。世俗の欲望や欲求で汚された生命なき心もて、われに近づくな。」
汝等もし汝等の魂を浄めさえするならば、汝等は今あの楽園とあの周辺を思い出すであろう。またわが言葉の真理は汝等総てに明白とならん。楽園の第5書簡の最も神聖なる第八行目に彼は次のごとくの宣(のたま)う。
二十 おお汝等軽率の床に死人の如く横たわる人々よ!多 くの年月は過ぎ去り、汝等の貴重な生命は、ほとんど終わりに近づいている。しかも汝等のただ一つの清い呼吸もわが聖なる宮廷には届いていない。間違った信 仰の海に沈められてもなお汝等は、その唇もて神への唯一なるまことの信仰を告白している。わが嫌うものを汝等は愛した。またわが敵を汝等は友とした。され ども汝等は、わが地上を得意になり自己満足して歩んでいる。わが土地が汝等に飽き、そこにある総てのものが汝等を避けていることに気づかない。
もし汝等眼(まなこ)を開きさえするならば、わが嫌うものを汝等は愛した。またわが敵を汝等は友とした。されども汝等は、わが地上を得意になり自己満足して歩んでいる。わが土地が汝等に飽き、そこにある総てのものが汝等を避けていることに気づかない。もし汝等眼(まなこ)を開きさえするならば、まことにこの喜びよりも無数の悲しみを選ばん。またこの生命よりも寧(むし)ろ死をより好ましく思わん。
二十一 おお浮動する塵埃(じんあい)よ!わ れ汝と霊の交わりをなさんと欲す。されど汝はわれに信頼を置こうとはせず。汝の叛逆の剣は、汝の希望の木を切り倒した。われは常に汝の傍らにいる。されど 汝は常にわれより遠くにいる。われ汝のため不滅の栄光を選んだ。しかも汝は汝自らのために、はてしなき恥辱を選んだ。間に合ううちに帰り来(きた)って汝 の好機を失うな。
二十二 おお欲望の子よ!知 識あり知恵ある人々が、長い年月の間努力したが、いと栄光あるものの面前に達することは出来なかった。彼等は神を求めて生涯を費した。しかもなお神の面影 の美を見はしなかった。されど汝は何の努力もせずに汝の目的を果し、また探求することなしに、汝の追求の目的を達成した。されども汝は自我というべールに 包まれたままであるので、汝の眼(まなこ)は敬愛さるる者の美を見ず、汝の手は神の衣服の裳(すそ)にも触れなかった。眼(まなこ)を持つ汝等は見よ、そして不思議に思え。
二十三 おお愛の市(まち)の住人達よ!死の風は永遠の燭火(しょくか)を襲い、天上の青春の美は塵挨(じんあい)の闇に蔽われている。愛の王中の王は暴虐なる人々のために虐待され、聖なる鳩は梟(ふくろう)の爪にとらえられている。栄光の館の住人達と天上の集いの人々は歎き悲しんでいる。しかるに汝等は怠惰の国に安臥(あんが)して汝自らを真の友人達の仲間と考えている。汝等の想像のいかに空しきことよ!
二十四 おお汝等賢いという名を持つ愚者等よ!汝ら内心は、わが羊の群れを襲わんとする狼なりしに、なにゆえ羊飼いの衣を着るや。汝等は曙に先だちて上る星の如きものであるそれは輝きて明るく見ゆれど、わが市(まち)の旅人等を導びきて破滅の道に迷い入らせるものである
二十五 おお汝等外見は美しく、内面は汚れたる者達よ!汝等は透明なれど苦き水の如くである。それは外観は水晶の如く清く見ゆれど、聖なる分折者により試めされる時は、その一滴さえも受け入れられぬものである。然り、太陽の光は塵挨(じんあい)の上にも鏡の上にも同様に注がれる。しかも星が地球と違う如く、それ等は反射に於て異っている。否その相違は測り知れないほどである。
二十六 おおわが言葉の友よ!しばし熟考せよ。友と仇とが一つの心の中に住めるなどと汝かって聞きしことありや。されば友が自身の家に入れるように、その見知らぬ者を遂い出せ。
二十七 おお塵挨(じんあい)の子よ!天と地にある総てのものをわれ汝のために定めた。ただ人間の心は別である。そこを、わが美と栄光の住家(すみか)とした。しかも汝はわが家、わが住居を、われならぬ他の者に与えた。かくてわが神聖を顕示するものが、彼自身の住家(すみか)をさがし求むる時はいつも、そこに見知らぬ者を見出し、宿るに家なく敬愛さるる者の聖所に急ぎ帰るのであった。しかもわれは汝の秘密を隠くし、汝の恥になることを欲しなかった。
二十八 おお欲望の真髄よ!超空間の国から、われ幾朝(いくあさ)も汝の住家(すみか)に向った。そして安楽の床上にあって、われならぬ他の者たちの応対に忙しい汝を見た。それゆえわれらは心霊の閃光の如く、天の栄光の国に帰った。また、われ、わが天上のかくれ家にて、それを聖なる軍勢に、ささやかなかった。
二十九 おお恩恵の子よ!無のくずより、わが命令の粘土もて、われ汝を出現させた。そして汝を訓練するために、存在するあらゆる原子と、あらゆる創造物の本質を定めた。かくて汝が、汝の母の胎内より生れ出づる前に、われ汝のために、輝く乳汁(ちち)を出す二つの泉と、汝を見守るために眼(まなこ)を、 汝を愛するために心を前もって定めておいた。わが慈悲心から、わが慈愛の木蔭で、われ汝を育て、わが恵みと好意の精髄もて汝を守護した。総てこれらのこと は、汝をして、わが永遠の国土に達せしめ、わが見えざる贈与を受ける資格を持たしめるためである。しかもなお汝は軽率にしていた。そして汝成年に達せる 時、総てのわが贈物を無視し、汝自らの愚かしき妄想に没頭し、かくて汝は全く忘れ易くなり、わが敵の邸に住むために友の門より背き去った。
三十 おお世界の奴隷よ!幾朝(いくあさ)も、わが慈悲の微風が汝の上を吹き去った。そして軽率の床にぐっすり眠りこけている汝を見出した。そこで汝の有様を悲しみながら、それは、もと来たところへ帰って行った。
三十一 おお地の子よ!汝われを得んと欲せば、われ以外の誰をも求むるな。また汝わが美を見つめんと欲せば、世界とその中にある総てのものに汝の眼(まなこ)を閉じよ。わが意志と、われ以外のものの意志とは、火と水の如く、一つの心の中に住むことを得ざれば。
三十二 おお助けられた見知らぬ者よ!汝の心の燭火(しょくか)は、わが権威の手で灯もされている。自我と情欲の逆風もて、それを消すな。汝のあらゆる病いを癒すものは、われを記憶するところにある。それを忘るな。わが愛を女の宝となし、汝の眼(まなこ)や生命そのものの如く、それをいつくしめ。
三十三 おおわが兄弟よ!わが蜜の如き舌より発する楽しき言葉を聞け。わが甘き水を出す唇から聖なる神秘の流れを飲め、わが神聖な叡知の種子(たね)を、汝の心の清き土に蒔き、確信の水をそれにそそげ。さればわが知恵と叡知のヒヤシンスは、汝の心の聖なる市(まち)に、あざやかに青々と萌え出でん。
三十四 おおわが楽口の住民達よ!慈悲の手もて、われ汝らの愛と友情の若木(わかぎ)を、天国の聖なる花園に植え、わがやさしき恵みの雨を注いだ。その果実の実る時が来ている今、それを護り、欲望と情欲の焔(ほのお)もて焼き尽くされることなきよう努めよ。
三十五 おおわが友等よ!汝等誤りの灯を消せ。そして汝等の心の中に聖なる導きの永遠に消ゆることなき灯火を燃やせ。やがて人類の試験者等は、敬慕(けいぼ)さるる者の聖き面前において、最も純潔なる美徳と汚れなき神聖なる行い以外には、何も受けつけぬであろう。
三十六 おお塵填の子よ!賢者とは聞く者を得ざれば語らぬ人々のことである。あたかも酌取りが、求むる人を見出すまでは、その盃を提供せず、愛するものが愛さるるものの美を見るまでは、その心の底より大声で呼ばぬ如くに。それ故知恵と叡知の種子(たね)を心の清き土に蒔き、それを聖なる叡知のヒヤシンスが、泥や土からでなく、心の畑より萌え出づる時まで隠しておけ。
書簡の第一行目にそれは記されており神の礼拝堂の聖域内にかくされているものは次のことである。消滅するもののために永遠の国土を見捨てるな。また世俗の欲望のために天上の主権を放棄するな。これは慈悲深きもののペンの源泉より流れ出づる永遠の生命の川である。それを飲む人々に恵みあれ。
三十八 おお心霊の子よ!汝の籠をずたずたに破れ。そして愛の不死鳥の如く聖なる天空に舞い上がれ。汝自身を捨てよ。そしてあふるる慈悲の心もて、天上の聖なる国土に住め。
三十九 おお塵埃(じんあい)の子孫よ!過ぎ行く一日の安らかさに満足して、永遠の安息を奪われるな。永遠の歓びの花園を、死すべき世界の塵の山と交換するな。汝の牢獄から起ちて、天上の輝かしき牧場へ昇れ。また汝の死すべき鳥籠より、超空間の楽園に飛び立て。
四十 おおわが僕よ!この世の束縛より自由になれ。また自我の牢獄より汝の魂を解き放て。汝の好機を掴め。そは再び汝を訪わざれば。
四十一おおわが侍女の子よ!汝不滅の主権を見れば、儚なきこの世から逃がれんと努むるならん。されど汝から前者をかくし後者を示してあることは、心の清きもののみが理解し得る神秘である。
四十二 おおわが僕よ!汝 ら友のよく好みたもう道を歩め。そして彼の喜びは彼の創造物の喜びの中にあることを知れ。即ち何人も友の好まぬ時に彼の家に入ってはならぬ。またその財宝 に手を触れることもせず自己の意志を友の意志より優れりともせず、また決して友より有利ならんことを求めてはならぬ。これを熟考せよ。汝等識見(しきけん)ある人々よ!
四十四 おおわが玉座の伴侶よ!悪 しきことを聞くな。また悪しきものを見るな。汝自らを卑しくするな。歎き悲しむな。悪しきことを語るな。さればそれが汝に語られることもなし。他人の過ち を誇張して語るな。されば汝自らの過ちも大げさに思われず。何人の屈辱をも望むな。されば汝自らの屈辱もさらされまい。かくて汝はかなき一瞬よりも短き汝 の生涯の日々を、汚れなき心と清き心情と純潔なる思想と、また汝の聖められたる性格とをもちて生きよ。されば汝自由に満足してこの死すべき形骸を放棄し神 秘なる楽園に行き、永遠に不滅なる王国に永久に住むを得ん。
四十五 ああ!ああ!俗界の欲望を愛する者等よ!稲妻の如く速やかに汝等は敬愛さるるものの傍らを過ぎ去った。そして汝等の心は悪魔のようなる幻想を切望した。汝等は空しい幻影の前にひざまずき、それを真実と呼んでいる。汝等は眼(まなこ)を茨棘(いばら)の方に向けて、それを花と呼んでいる。一息と雖(いえど)も汝等は清い呼吸をしたことがない。また汝等の心の牧場から世俗超脱の微風が吹いて来たこともない。汝等は敬愛さるるものの愛の忠言を風に飛ばせた。またそれを汝らの心の書簡から完全に抹殺した。かくて野の獣の如く、汝等は欲望と情欲の牧場の中に住まっている。
四十六 おお信仰の道の兄弟等よ!何故(なにゆえ)に 汝等は敬愛さるる者について語ることを怠り、彼の聖なる面前に近づくことを避けるや。美の真髄は類なき楼閣の中なる栄光の玉座の上にある。しかるに汝等は 愚かしき争いに没頭している。神聖なる甘き香りは漂い、恩恵のそよ風は吹いている。しかも汝等は皆それを奪われ痛ましくも悩んでいる。ああ汝等と汝等の道 に入って汝等の後に従う人々悲しいことよ。
四十七 おお欲望の子等よ!虚栄の衣を脱げ。傲慢(ごうまん)の衣服を捨てよ。紅玉(こうぎょく)の書の中に記載されている最も神聖なる第三行目に、見えざるもののペンによって次の如く示されている
四十八 おお兄弟等よ!互に忍耐し合え。また下界のものに愛情を注ぐな。汝の栄誉を誇るな。また屈辱を恥ずるな。わが美にかけて誓う!われ塵挨(じんあい)より総てのものを創った。またわれ総てのものを再び塵挨(じんあい)に帰せしめん。
四十九 おお塵撲の子等よ!富めるものに、貧しきものの真夜中のため息を知れ。軽率が彼らを破滅の道に導かざるため、また富の木より彼等を奪わざるために。施与(さよ)と寛大とは、わが属性である。わが美徳をもって自己を飾るものは幸いである。
五十 おお激情の真髄よ!総ての貪欲を捨てて満ち足りることを求めよ。貪欲なるものは常に奪われ、満足を知るものは常に愛され称讃されん。
五十一 おおわが侍女の子よ!貧 困にわずらうな。富に信頼するな。貧困には富が次ぎ、富には貧困が次ぐものなれば。されど神以外のすべてのものに貧しくあることは驚くべき賜物である。そ の価値を軽視するな。結局は、それは汝を神で富ましむれば。かくて汝「げに汝等は貧者なり」という言葉の意味を知り、また「神こそ総ての所有者なり」とい う聖語は、まことの朝の如く、愛さるるものの心の地平線から堂々と輝き出で、富の玉座の上にしっかりと止まるであろう。
五十二 おお怠慢と欲情の子等よ!汝等はわが家に、わが敵が侵入するのを許し、わが友を追出した。汝等われならぬ他の者の愛を汝の心の中に安置したれば。友の言うことに耳を傾け、彼の楽園に向え。自らの利益に汲々(きゅうきゅう)た る世俗の友等は互に愛し合うように見える。されどまことの友は汝等自身のために汝等を愛して来たし、また愛している。まことに彼は、汝等を導くために、限 りなき苦しみを受けて来た。かかる友に不実であるな。いやむしろ、彼のもとへ急げ。これこそ総ての名前の主のペンの地平線上に明け初めた真理と誠実の言葉 の暁の明星である。汝の耳を開け。されば汝等危急の時の救助者にして自存(じそん)する神の言葉を聞き得ん。
五十三 おお汝等消減すべき富に傲(おご)る者等よ!まことに汝等、富は求むるものと、その者の欲求との間、また愛する者と愛さるる者との間の強大な障壁であることを知れ。富める者は、極く少数の外は決して彼のい給う宮廷にも達せず、また満足と服従の市(まち)にも川らないであろう。自分の富によって永遠の王国に入ることを邪魔されず、またそれによって不滅の領土を奪われない富者は幸いである。最大の御名にかけて誓う!かかる富者の光輝(こうき)は、太陽が地上の人々を照らす如く、天上の人々を照らすであろう。
五十四 おお汝等地上の富者よ!汝らの中にいる貧者は、わが信任者である。汝らわが信任する者を守れ。そして汝等自身の安楽にのみ熱中するな。
五十五 おお激情の子よ!富の汚れより汝自身を清めよ。また全く安らかに貧の国に進め。かくて世俗超脱の源泉より不滅の生の美酒を飲まん。
五十六 おおわが子よ!不信心なる者との交際は悲しみを増す。されど正しき者との親交は、心の錆(さび)を除く。神との親交を求むる者は、神の愛する者達と交わり、また神の言葉を傾聴(けいちょう)せんと欲す者は神の選べる者等の言葉に耳を傾けよ。
五十七 おお塵挨(じんあい)の子よ!注意せよ!不信心なる者と共に歩むな。また彼と交わらんことを求むるな。かかる交際は、心の輝きを地獄の火に変えるものなれば。
五十八 おおわが侍女の子よ!汝聖霊の恵みを求むるならば、正しき者と交われ。彼こそは不死の酌取りの手より、永遠の生命の盃を飲んだ者であり、まことの朝の如く、死者の心をも生き返らせ、またそれを照らすものなれば。
五十九 おお軽率なるもの等よ!心の秘密が隠されていると思うな。否、むしろそれ等は確かに明瞭なる字もて刻まれ、神の御前に公然と現わされていることを知れ。
六十 おお友等よ!まことにわれ言う。汝等が心の中に何を包み隠そうとも、われには太陽の如くあからさまに分っている。しかもそれが隠されてあることは、わが慈悲と恩恵の故であり、汝の功績ではない。
六十一 おお人の子よ!わ れわが慈悲の底知れぬ海より、一滴の水を、この世界の人々の上に注いだ。されど、誰もそれをかえりみるものがなかった。それは総ての人々が天上の統合の美 酒から不潔なる腐った酒粕(かす)の方へ目を向け、死の盃(さかずき)に満足して、不滅の美の聖盃を捨てたためである。彼がそれに満足するとは下劣なこと である。
六十二 おお塵埃(じんあい)の子よ!永遠不滅の敬愛さるる者の類なき美酒から汝の眼(まなこ)をそらすな。そして不潔なる朽つべき酒粕に汝の眼(まなこ)を開くな。聖なる酌取りの手より不滅の生命の聖盃を取れ。されば総ての知恵が汝のものとならん。また見えざる国より不思議なる呼び声を聞くを得ん。大声に叫べ。汝等志の低き者等よ!汝等何故(なにゆえ)に、わが聖なる不滅の酒より眼(まなこ)をそらせて、儚き水の方に向うや。
六十三 おお汝等世界の人々よ!まことに不慮の災難が汝を追い、悲しき報いが汝を待伏せしていることを知れ。汝の行なえる行動が、わが眼(まなこ)より消されていると思うな。わが美にかけて誓う!汝等のなせること総てを、わがペンは橄欖石(かんらんせき)の書に、明らかなる文字もて刻みしことを。
六十四 おお地上の圧制者等よ!圧制より汝等の手を引け。われ如何(いか)なる者の不正も許さじと誓いたれば。これわが保管中の書に変更することのできないものとして定め、わが栄光の封印もて閉じたる聖約である。
六十五 おお反逆者等よ!わが寛容は汝等を大胆にし、わが長き忍苦は汝等を怠慢にした。かくて汝等は激情の火の馬に拍車をあて、破滅へ導く危険な道に飛び出した。汝等われを不注意にして気づかぬと思いしや。
六十六 おお移住者等よ!舌はわれを語るために、わが立案せしものである。悪口をもって、それを汚すな。汝等自我の火によって襲われた時は汝等自身の過ちを思い出し、わが創りし者等の過ちを思うな。汝等は総て自身を他の人々より一層よく知る故に。
六十七 おお空想の子等よ!まことに汝等輝かしき朝が、永遠に聖なる地平線上に明け初める時、夜の暗闇の中で犯された悪魔の秘密も悪行も、世界の人々の前に暴露され明示されることを知れ。
六十八 おお塵壌に芽ぐむ雑草よ!何故(なにゆえ)に汝の汚れたるこれ等の手は、まず汝自身の衣服に触れざるや。また何故(なにゆえ)に欲望と激情とに汚された心をもちて、汝われと親しく交わり、わが聖なる国に入らんとするや。汝等は汝等の欲するところよりははるかに遠くかけ離れている。
六十九 おおアダムの子等よ!聖き言葉と純潔にして善き行いは、聖なる栄光の天国に昇る汝等の行いを自我と偽善の塵挨(じんあい)より清め、栄光の宮廷にて恩寵を受けるべく努めよ。やがて人類の試験者等は、拝さるるものの聖なる御前にて、完全無欠なる美徳と汚れなき純潔の行為の他は何ものも受けつけぬであろう。これこそ,神意の地平線上に輝き出た叡知と聖なる神秘の太陽である。
それに向うものに幸あれ。喜 ばしきは実在の国である。汝もしそこに達するならば。輝かしきは永遠の領土である。汝もしこの死すべき世を乗り越えるならば。快きは聖なる恍惚の境であ る、汝もし天上の若者の手より神秘なる聖盃を飲むならば。汝この段階に到達するならば、滅亡と死と、労苦と罪より解放されん。
七十一 おおわが友等よ!汝等ザマンの聖なる境内にあるパラン山に、われと共に入りしあの聖約を思い出せ。われ天上の群衆と永遠の市(まち)の住民達に証明して貰った。しかも今や誰一人として聖約に忠実なるものを見出さず確かに傲慢(ごうまん)と反抗が聖約を人々の心より消し去り、かくてその痕跡さえも残ってはいない。しかもこのことを知りながら、われは待ち、これを公表しなかった。
七十二 おおわが僕よ!汝はよく鍛え上げられ、暗い鞘(さや)に封じこめられた剣の如きものであり、その剣の価値は職人には隠されている。それ故自我と俗望の鞘(さや)より抜け出でよ。さらば汝の真価は輝き出で全世界に明らかとならん。
七十三 おおわが友よ!汝はわが聖なる天空の昼の星である。世の汚れにより汝の光輝(こうき)を蔽い消すな。無思慮のべールを寸断せよ。されば汝雲の蔭より輝き出で、あらゆるものを生命の衣もて装わん。
七十四 おお虚栄の子等よ!儚なき主権のために、汝等はわが不滅の国土を見捨てた。また世俗のきらびやかな装いもて身を飾り、それを汝等の誇りとしている。わが美にかけて誓う!われあらゆるものを一色の被いである塵埃(じんあい)の下に集め、これらのあらゆる異った色彩を、わが選びし色として、あらゆる色より清められたるものの他は総て消し去らん。
七十五 おお怠慢の子等よ!滅ぶべき主権に愛着するな。またその中にて喜ぶな。汝等は梢(こずえ)にて自信満々と囀(さえず)る軽率なる小鳥の如きものである。突然猟人なる死が、それを塵挨(じんあい)の上に射ち落し、そのメロディも、その形も、またその色も消え去り、痕跡も残らないであろう。されば心せよ、おお欲望の奴隷等よ!
七十六 おおわが侍女の子よ!導 きは、いままではずっと言葉によって与えられたが、今やそれは行為によって与えられる。何人も純潔にして聖き行いを示さねばならぬ。言葉は同様に総てのも のの財産である。しかるに、かかる行いは、わが慰する者達のみのものである。されば汝等の行いによりて、見分けられるよう心魂を打ち込んで努力せよ。かく の如くわれはこの聖く輝かしき書において汝に忠言する。
七十七 おお正義の子よ!夜 のうちに不滅なるものの美は、忠誠の新緑の丘より、サドラトゥル・モンタハヘ行ってさめざめと泣いた。彼の悲しむ様を見て天上の群衆も、天国の住民達も貰 い泣きしたほどであった。そして何故かくも歎き悲しむやと問われた時、彼は答えた。命じられた如く、われ忠誠の丘にて期待して待てり。されど地上の住民達 より誠実の香りは匂い来らず。かくてわれ帰るよう召されし時、われは見ぬ、見よ!ある聖なる鳩等は、地上の犬等の爪に甚だしく苦しめられたるを。そこで天 の侍女は彼女の神秘なる家よりべールを脱ぎすて、光り輝きつつ走り出で、彼等の名を尋ねた。すると一つを除く総ての名が告げられた。せき立てられて残りの 一人の第一の文字が語られた。そこで天上の館に住む人達が栄光の住居より駈け出した。第二の文字が述べられた時、彼等は一人残らず塵埃(じんあい)の上に平伏した。この時最奥(さいおく)の神殿より一つの声あり、曰く「これまでは、されどもうこれ以上は断じて」。まことにわれ彼等がなせること、またなしつつあることの証人とならん。
七十八 おおわが侍女の子よ!慈悲深き者の舌より聖なる神秘の流れを飲め。また聖なる言葉の曙光(しょこう)より知恵の昼の星の明らけき輝きを見よ。わが聖なる知恵の種子(たね)を、心の清き土に蒔き、確信の水をそそげ。されば知識と知恵のヒヤシンスは、心の聖き市(まち)より生々した緑の芽を出さん。
七十九 おお欲望の子よ!汝いつまで欲望の国土で飛ぶや。わが汝に与えし翼は、神秘なる神聖の国土へ飛ぶためにして、悪魔の幻想の領域を飛ぶために非らず。わが汝に与えし櫛もまたわが黒髪をくしけずるためにして、わが咽喉を引きさくためにあらず。
八十 おおわが僕よ!汝 等はわが花園の樹である。汝等自身と他のものの利益のために、立派なる素晴らしき果実を結ばなければならぬ。かくて技術及び職業に従事することは万人の義 務である。そこにこそ富の秘訣があるからである、おお理解力ある人々よ。結果は手段に依存し、神の恩恵は汝等に全く十分であろう。果実を結ばぬ樹は焼かれ てきたし、また永久に火にくべられるであろう。
八十一 おおわが僕よ!地上において、果実を結ばぬ人々こそ最も卑しいものである。またかような人々は、まことに死人の仲間とみなされている。否、神の眼(まなこ)には、これらの怠惰にして価値なき者よりも死者の方がましである。
八十二 おおわが僕よ!すべての世界の主なる愛の神のために、職業によって生計を得、自らとその同族のために、それを費う者達こそ最も善き人々である。
言 葉のベールの下に、これまで隠されていた神秘にして素晴らしき花嫁は、輝かしい光が敬愛さるる者の美によって放たれたる如く、今や神の恵みと聖なる恩寵に よって現わされた。おお友等よ!恩恵は完全であり、論証は満たされ、証拠は現わされ、また証明は実証されたことを証言する。今や世俗超脱の道に於ける汝等 の努力は、何を示さんとするかを見よう。かくて聖なる御恵みは、汝等と、また天と地にある者等に十分与えられている。すべての世界の主なる神に御栄えあ れ。